2035年中国自動車ロードマップ2.0の発表

中国工業情報化省(工业和信息化部)より、2020年10月27日に「省エネと新エネルギー自動車技術ロードマップ2.0」(节能与新能源汽车技术路线图2.0)が公表され、2035年に新車販売のすべてを電気自動車(EV)等の新エネルギー車(NEV)やハイブリッド車(HV)にする方針を発表されました。

http://www.miit.gov.cn/n1146290/n1146402/n1146440/c8136834/content.html

ロードマップでは、2025年に新エネ車販売量の20%、2030年に40%、2035年に50%まで高める計画としています(新エネ車はEV、FCEVなどを含む)。その内EVが95%以上を占めると予想されます。

中国自動車技術ロードマップ2.0

※省エネと新エネルギー自動車技術ロードマップ2.0に基づき、弊社が作成

又、新エネ車の普及のみならず、自動車のIT化、知能化、自動運転などの実現、産業構造改革、製造技術のアップグレードも目指しているようです。

リチウムバッテリーなどの産業に追い風

2019年中国の自動車販売量は世界最多の2570万台であり、EVを中心とした新エネ車は世界トップの120万台となりました(中国全体の5%弱)。これを15年間で50%以上まで持っていくのは、非常に厳しい目標ですが、中国の国家戦略としては必達になるのでしょう。

2035年中国自動車の新車販売台数は3000万台とすると、約半分の1500万台が電気自動車となり、リチウム電池、モーター、インバーター、コンバーターなどの関連産業にとっては追い風になります。リチウム電池は現在の10倍以上の供給量が必要との試算であり、中国では、既に寧徳時代新能源科技(CATL)、国軒高科、ファラシス・エナジー等のリチウム電池のメーカーが成長し、政策的後押しを受け、更なる成長が期待されます。

日系メーカーの注意点

今後、ロードマップを基に、EVやHV関連の政策、国家・業界標準作成が更に進むフェーズに入ると予想します。作者は中国のOA機器関連の国家・業界標準の作成に数年関わったことがありますが、政策や標準策定は中国メーカーの実情を鑑み、有利な方向にする傾向がある。極端な例を言えば、標準や政策にある文言一つで外資企業の中国で販売できなくなることも考えられます。

現在、トヨタ自動車はHV技術の特許を開放し、日系企業に有利な見方もある一方で、多くの日系メーカーはロビーイング力が弱く、中国や欧州企業に有利な事業環境が形成されつつある状況にあります。今後、中国の自動車産業の政策や政策策定・標準化等に代わるキープレーヤー/キーマンなどをしっかりと見極めたうえで、業界団体や標準化委員会などへの積極的な関与が必要と考えます。