「独身の日」の始まり

大分前から大学で流行っていたらしいが、残念ながら私は中国にいた頃知らなかった。

「1」を棒と見立て、「1」が4つも連続して並んでいる11月11日が「棒しかない日」=「独身者の日」として中国のインターネット上でジョークとして広まった。元は1993年に南京大学の寮生たちが始めたイベントとされている。独身者同志が集まってパーティーを開いたり、独身者が結婚相手を探したり、様々な活動が行われていた。

2009年には、アリババが「独身の日」セールを始め、今ではアリババグループだけでなく、京東(JD)や拼多多(Pinduoduo)など他のECモールもセールを実施している。今は中国通販年間一大イベントになってきている。

アリババ「独身の日」取引総額の推移

2009年からスタートした独身の日セールだが、アリババの流通総額を見るとずっと右肩上がりで推移してきている。

今年の「独身の日」、アリババの1日の流通総額が4982億元(約7.9兆円)となり、昨年の2684億元(約4.2兆円)を大きく上回った。

実は11月11日未明の0時30分、アリババでの流通総額は既に3723億元(約5.9兆円)を突破し、昨年1日の2684億元(約4.2兆円)を既に大きく上回った金額となっていた。楽天の年間流通額は約3.9兆円であり、僅か30分で楽天市場の年間流通総額を軽く超える結果となった。

新記録の要因分析

今年の熱狂は大きく二つの要因が考えられる。

●巣篭もりの反動消費

2020年1月下旬から中国各地にロックダウンを実施され、実体経済は大きく打撃を受けたが、EC各社は軒並みに業績を延ばした。

アリババグループが、2020年度第1四半期の売上高は1143億元(約1兆7147億円)で前年同期から22%増加、第2四半期の売上は1537億元(約2兆3063億円)で前年同期から34%増加、第3四半期の売上は1550億元(約2兆4034億円)で前年同期から30%増加。今年は絶好調。

中国での新型コロナはロックダウンにより収束しているものの、依然として欧米諸国は第3波に直面しており、海外旅行を控えた消費者のマネーが国内に流れたことが大幅増の大きな要因の一つと考えられる。

●ライブコマースの定着

近年、中国の通販市場で最も成長している分野はライブコマースである。

2019年の流通総額は4338億元(約6.9兆円)となっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が急増し、2020年は9610億元(約14.6兆円)になると予想されている。

中でも、アリババの「タオバオライブ」、テンセント資本が入った「快手」、バイトダンスの「DOUYIN」の3つが大きく伸ばしている。

コロナの影響もあり、消費者は外出を控え、ライブコマースを利用するユーザーが爆発的に増加している。11月1日、超人気インフルエンサーの辛巴氏が8時間の連続ライブ販売で約300億円の売上を達成した。

中国の通販市場では、日本の化粧品、子供用品のブランドなどは非常に人気があり、日本企業にとっては大きなビジネスチャンスがあるものの、中国の巨大需要を取り込んでいく上では、同国に合わせた展開方法が必須となる。