2021年5月11日、中国国家統計局は2020年の国勢調査(人口普査)の結果を発表された。約1ヶ月遅れの発表となり、結果の正確性について疑念が生じていますが、今回の調査結果から中国の人口動向及び今後のトレンドが少し見えてきました。
人口総数
2020年の中国人口総数は14億1178万人に達し、2010年より5.4%・7206万人が増加しました。年平均増加率は0.53%、2000年〜2010年の年平均増加率より0.04%低下しました。
中国人口は依然世界最多ですが、増加ペースは緩やかになりました。中国統計局は、中国人口は2025年〜2030年にピークに達し、それ以後減少に転じると予測されています。
※中国統計局のデータに基づき、弊社作成
性別構成
男性人口は7億2334万人、51.24%、女性人口は6億8844万人、48.76%、人口性別比(女性100人を基にした男女比率)は105.07です。出生人口性別比は111.3、2010年より6.8も改善しましたが、依然他国にないほど高い水準となっています。
男性は女性より3500万人も多く、各年齢層に分散しているとはいえ、「結婚難」は大きな社会課題になりつつあります。
年齢構成
0-14歳の人口は2億5338万人、17.95%;15—59歳人口は9億6776万人、68.55%;65歳以上の人口は1億9064万人、13.50%。
0-14歳の人口の比率は2010年より1.35%上昇し、一人っ子政策の緩和による効果が現れてきました。
65歳以上の人口は2010年より4.63%上昇し、高齢化社会の進行が予想以上に加速しています
民間のシンクタンクは、65歳以上の高齢者人口は、2030年には2.3億人、2050年には3.8億人に達し、総人口に占める割合は30%以上と予測されています。
※中国統計局のデータに基づき、弊社作成
今後のトレンド
中国は2016年に「一人っ子政策」を廃止し、代わりに「二人っ子政策」を導入しましたが、出生者数は思うように増加しませんでした。近年、教育費、住宅費、医療費の負担が大きく、出産適齢期の人は出産育児のモチベーションはそもそも高くありません。安心できる育児環境があるとは言えなく、日本以上に子育てが難しいと感じています。
中国政府は「出産政策」の全面的緩和を検討されているようですが、少子高齢化社会の流れはそう簡単には変わらないのではないかと考えます。
ビジネスチャンス
少子高齢化の進行に伴い、介護やヘルスケアなどの「高齢者ビジネス」に大きなチャンスがあると考えます。
例えば、高齢者向けの日用品、健康食品、保健機器、介護用品などの商品、老人ホーム、訪問介護、リハビリー施設などのサービス市場は今後更に成長し、中国介護市場の規模は2021年に4500億元(約7.6兆円)に達すると予測されています。
近年、中国国内では介護やヘルスケアに対する関心が高まっています。中国では介護に関する専門知識や技能を持っている人が非常に少なく、まだ健全な市場に形成されていません。介護に関する教育や市場環境はまだ体系化できていなく、日本と同様に「きつい、汚い、危険」の3Kのイメージが強く、都市部の若者に敬遠されている状況です。
高齢者ビジネスの先進国である日本で事業を営む日本企業にとっては、巨大な中国市場への進出は海外事業拡大の大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。健康食品、保険機器などの商品輸出、介護サービスの現地展開、介護人材育成ノウハウの販売など、色々な可能性が考えられます。